これまでの検証結果の一つとして、以下のことが分かった。
①トレンド相場においても陽線と陰線の本数に偏りはない
②偏りが出るのは本数ではなく、長さである
参考:FXチャートで陽線と陰線の本数に偏りが出る期間はあるのか
上記のことから以下の検証をしてみよう!
目次
1.移動平均線の向きに沿ってローソク足の始値でエントリー、終値でイグジットを繰り返す!
トレンドが出ているときに長さに偏りがあるなら、その方向に始値でエントリー、終値でイグジットを繰り返したらどうか。
具体的に言うと、移動平均線が上向きなら始値でロングでエントリー!下向きならショートでエントリー!そしてどちらであっても終値でイグジット!
これをひたすら繰り返してみよう。
※移動平均線とは、トレンドを判断するためのテクニカル指標であり、直近の任意の期間の終値の平均をとったものです。
[検証条件]
①資金:100万円スタート
②検証期間:過去3年
③一回あたりの取引数量:0.1ロット
1−1.60分足の場合
検証の結果、以下のようになった。
赤い線が移動平均線(過去20本の平均)であり、直近の移動平均線が上向きならロング、下向きならショートしている。
チャートの下のグラフが資金の推移。
100万円が3年かけてきれいに溶けていっている…
1−2.4時間足の場合
結果は以下の通り。
資金の推移は60分足でのトレードよりはマシだが、結局資金は目減りしている。
1−3.日足の場合
結果は以下の通り。
一気にプラスになった。
3年で¥55,000ほどのプラス。
今回は100万円に対して、少なめに0.1ロットですが取引ロットを倍にすれば利益も倍になります。
しかし移動平均線に沿って(トレンドに沿って)取引をしているのに、資金が減っていく期間があるのはなんででしょう。
2.ただ移動平均線に沿ってトレードしても勝てない理由
上記検証の通り、短い時間足の場合勝てない手法になっています。
また、長い時間足である日足での検証においても資金が下がり続ける期間もあります。
これはなぜでしょう。
2−1.トレンド形成において、短い時間足より長い時間足のほうが強い
FXにおいては、短い時間足より長い時間足のほうが強いです。
短い時間足において上昇相場に一見見えても、長い時間足におけるその期間は下降相場の中のちょっとした戻しの期間であるなんてことはよくあります。
トレンドに乗るなら、長い時間足で判断するほうが精度が上がるのです。
今回の検証では日足まで時間足を延ばして検証したら収支がプラスになりましたね!
2−2.短い時間足ほどスプレッド(手数料)がたくさんかかる
FX取引するにあたり、毎回スプレッド(手数料)がかかります。
ドル/円でいうと国内業者なら一回あたり、0.002円~0.003円ほどかかります。
今回の例のように、一時間に一回取引をし続けるなら一日でスプレッドが24回かかることになります。
これが日足なら当然最初の一回のみです。
それをずっと繰り返すわけですから、累積するとかなりスプレッドで損していると言えます。
2−3.移動平均線はあくまで後出しの結果である
これは移動平均線に限らず全てのインジゲータ(移動平均線を含むテクニカル指標)に言えますが、あくまで直近までの値動きから算出した数値であってこれからの値動きを約束するものではないのです。
今回の例でいうと、取引直前までの傾向として下向きだったら、傾向として次のローソク足が陰線なら大きい陰線になり、仮に陽線が出てしまっても小さめの陽線になるのではないかと予想してその通りに賭けるということです。次のローソク足が直近の傾向通りになる保証はないのです。
そして、トレンドが出ていない(横ばいにチャートが推移している = 陽線と陰線の長さに偏りがない)時においても直近の移動平均線の向きに沿ってトレードしてしまうわけですから、そういう期間は損をしやすくなるわけです。
そういう期間に仮に勝ちも負けも同じ数だったとしても、勝ち負けが半々ということはスプレッド(手数料)の分だけ必ず損することになります。
3.まとめ
検証の結果、以下のことがわかった。
①長い時間足なら、移動平均線の向きに沿って賭け続けたらトータルで勝てる ※しかし、トレンドが出ていないために資金が減っていく期間もある
②取引の数を増やすほどスプレッドもかかる
③移動平均線はあくまで後出しの指標であることに留意
今回は単純に移動平均線の向きで判断してひたすらエントリーをしたが、これにエントリー条件を追加していったらどうか。
次回検証していく。
※以下のページでは、このサイトで検証した手法の内、勝てる手法をまとめています。是非ご参照ください。