有名なインジゲータであるMACD。
そのMACDで一般的に言われるクロス手法を検証してみます。
果たして本当に勝てるのでしょうか?
この記事の最後には、勝てる手法をまとめたページのリンクも貼ってあります。併せて是非ご参照ください。
【YouTube動画はこちら】
目次
1.MACDとは?
MACDについて簡潔に説明します。
以下の図を見てください。
チャートの下に2本のラインがあります。
グレーのラインがMACDラインで赤いラインがシグナルラインです。
通常この2つセットでMACDと呼ばれます。
MACDはオシレーター系のインジゲーターです。オシレーター系のインジゲーターとは、相場の売られすぎや買われすぎを判断するためのインジゲーターです。
(オシレーター系のインジゲーターは、有名どころだと他にはRSIやストキャスティクス等です。)
一般的に言われるMACDの売買手法は、このMACDの2本がクロスした時にエントリーしそれと逆方向にクロスしたら決済するというものです。
2.MACDの特徴
MACDの特徴として挙げられるのが、単純移動平均線(SMA)より相場の動きへの反応が早い点です。
実はMACDも移動平均線を使って算出されています。
ただしMACDの計算式で使用される移動平均線は、一般的な単純移動平均線(SMA)ではなく指数平滑移動平均線 (EMA)です。
単純移動平均線(SMA)は指定期間の値段を全て平等に扱い平均値を出すのに対し、指数平滑移動平均線 (EMA)は直近の値段を重視するように計算されます。
つまりトレンドが切り替わるときにはMACDの方が早く反応するのです。
以下の図を見てください。
単純移動平均線のクロスとMACDのクロスを比較すると、やはりMACDのクロスのほうが相場の動きに早く反応しています。
トレンドが出るときの初動をMACDのクロスでキャッチしてエントリーできたら、それだけ根っこから利益を取れるということになります。
この理屈ならMACDのクロス手法でエントリーし続ければ、勝てるのではないかという気がしてきますよね!
3.MACDの0ラインについて
上述の通り、MACDのクロスでエントリーするのが一般的に言われる手法ですが、この精度をさらに上げるとされる見方があります。
それはMACDの0ラインより上か下かをエントリーする際の判断材料に加えることです。
具体的には以下の通りです。
MACDラインがシグナルラインを下抜けた時にショートエントリーするなら、0ラインより上の状態でなければいけない。
MACDラインがシグナルラインを上抜けた時にロングエントリーするなら、0ラインより下の状態でなければいけない。
以下の図で例示します。
図に×印をつけたところでは、MACDのクロスが起きているがエントリーは控えるということです。
これは高値圏ではロングエントリーを避け、安値圏ではショートエントリーを避けるための見方です。
4.MACDのクロスでエントリーと決済!
今回は上述の0ラインを意識した場合と、意識しない場合の両方のやり方を検証してみます。
よって、以下の2パターンでそれぞれエントリーと決済を繰り返してみましょう。
[パターン1]
MACDラインがシグナルラインを抜けたらその方向にエントリー!
MACDラインがエントリーした時と逆方向にシグナルラインを抜けたら決済!
[パターン2]
ロング:MACDラインがシグナルラインを下抜け、かつ0ラインより上ならショートエントリー!
ショート:MACDラインがシグナルラインを上抜け、かつ0ラインより下ならロングエントリー!
MACDラインがエントリーした時と逆方向にシグナルラインを抜けたら決済!
この2パターンをそれぞれひたすら繰り返してみます。
これらの勝率や期待値はいかに!
検証してみましょう!
5.検証条件
[基本情報]
通貨ペア:ドル/円
資金:100万円
取引ロット:0.5
時間足:複数で検証
スプレッド:5
期間:過去5年(2014/1/1~2018/12/31)
[インジゲータ]
MACD:短期指数移動平均線 12 長期指数移動平均線 26 MACDシグナル線期間 9
※MACDにおいて一般的なパラメータです
上記の条件にて検証します。
6.検証パターン1 0ラインを意識しない場合
まずは0ラインを意識しない場合の検証を開始します。
以下にそれぞれ示す画像の下の青線のグラフが資金の推移を表しています。
6−1.15分足
まるで勝てそうにない。
少しの優位性も見受けられない。
総取引数:2,281回 純益:-836,100円 売りポジション勝率:27.72% 買いポジション勝率:31.49% 一回あたりの期待値:-366.55円
6−2.1時間足
やや資金に山ができる期間もあったが、結局全然勝てない。
総取引数:1,132回 純益:-856,000円 売りポジション勝率:28.24% 買いポジション勝率:32.86% 一回あたりの期待値:-756.18円
6−3.4時間足
ちょっとマシになったが、これでも全然だめだ。
総取引数:747回 純益:-131,500円 売りポジション勝率:37.16% 買いポジション勝率:36.22% 一回あたりの期待値:-176.04円
7.検証パターン2 0ラインを意識する場合
次に0ラインを意識した場合の検証を開始します。
以下にそれぞれ示す画像の下の青線のグラフが資金の推移を表しています。
7−1.15分足
0ラインを意識しても結局資金はショートした。
総取引数:828回 純益:-765,165円 売りポジション勝率:30.62% 買いポジション勝率:36.63% 一回あたりの期待値:-924.11円
7−2.1時間足
んー、1時間足でもほとんど変化なし…
総取引数:443回 純益:-780,600円 売りポジション勝率:32.51% 買いポジション勝率:34.93% 一回あたりの期待値:-1762.08円
7−3.4時間足
4時間足でも全然ダメだ。終わってる。
総取引数:247回 純益:-643,585円 売りポジション勝率:31.40% 買いポジション勝率:40.48% 一回あたりの期待値:-2605.61円
8.まとめ
・一般的に言われるMACDのクロス手法を機械的に行うだけでは勝てない!
・0ラインを意識してエントリーすると勝率はやや上がるが、それだけでは大きな優位性は見込めない!
一般的な手法を愚直に繰り返すだけでは勝てないことがわかりました。
今回の検証ではMACDのクロスのみでひたすらエントリーと決済を繰り返しています。
他のインジゲータと組み合わせてブラッシュアップしたら勝てる手法が見つかるかもしれません。
引き続きMACDの検証を続けます。
※以下のページでは、このサイトで検証した手法の内、勝てる手法をまとめています。是非ご参照ください。