当たり前だがFXにおいて、日々価格の上昇と下落がある。
ここではそれで終わらず、そこについてもっと考えてみよう。
毎日、日足は陽線か陰線を形成して終えているが、以下の傾向があるのではないか?
・その日が陽線なのであれば(上昇したのであれば)その日の始値から高値までの上昇幅のほうが、その日の始値から安値までの下落幅より長いのではないか?
・その日が陰線なのであれば(下落したのであれば)その日の始値から安値までの下落幅のほうが、その日の始値から高値までの上昇幅より長いのではないか?
つまり、過去を検証し “日足が陽線の場合の上昇の平均値と下落の平均値” 及び “日足が陰線の場合の下落の平均値と上昇の平均値” をとって以下のように賭け続ければ勝てるのではないか!?
ロングの場合: 利食い:過去の陽線の日足の上昇の平均値 損切り:過去の陽線の日足の下落の平均値 で始値でエントリー!
ショートの場合: 利食い:過去の陽線の日足の下落の平均値 損切り:過去の陽線の日足の上昇の平均値 で始値でエントリー!
これで検証してみよう!!
目次
1.陽線と陰線の上昇と下落の平均値を算出
筆者は日足のエクセルデータをたまたま持っているため、それを使って算出してみよう。
通貨ペアはドル/円で、期間は 2015/2/13 ~ 2019/11/13 までの1,235本だ。
1−1.エクセルデータの用意
まずはエクセルデータを開きます。
このデータを全て陽線と陰線の判定をします。
1−2.陽線か陰線かの判定
F列に陽線か陰線かの判定をしました。
次は陽線と陰線ごとに、上昇幅(始値から高値まで)と下落幅(始値から安値まで)を出します。
1−3.陽線と陰線ごとの上昇幅(始値から高値まで)と下落幅(始値から安値まで)の算出
G列にその日の上昇幅(高値-始値)、H列にその日の下落幅(安値-始値)を算出しました。
次はいよいよ陽線の場合と陰線の場合のそれぞれにおける、上昇と下落の平均値を算出します。
1−4.陽線の場合と陰線の場合のそれぞれにおける、上昇と下落の平均値を算出
計算結果は以下の通りです。
陽線 上昇平均:0.629 下落平均:-0.201
陰線 上昇平均:0.218 下落平均:-0.695
陽線も陰線もだいたい同じような数字になりましたね。
それではこの数値を利用して検証作業に入っていきましょう!
2.エントリー
今回は毎日ロングのみ、もしくはショートのみをひたすら繰り返してみよう!
利食いと損切は上で算出した通りだが陽線も陰線も同じような数字になったので、切りのいい数字にするために利食いは60pips(0.600円)、損切は20pips(0.200円)としよう。
ちょうどリスクリワードが1:3で良い割合ですしね!
3.検証条件
[基本情報]
通貨ペア:ドル/円
資金:100万円
取引ロット:0.5
時間足:複数
スプレッド:5
期間:過去5年(2014/1/1~2018/12/29)
[インジゲータ]
なし
[利食い]
60pips(0.600円)
[損切り]
20pips(0.200円)
上記の条件にて検証します。
4.検証
それでは検証を開始します。
以下にそれぞれ示す画像のチャートの下のグラフが資金の推移を表しています。
4−1.ひたすら始値でロングエントリー!
勝った!…が、資金のグラフの山と谷が激しくて大きな優位性は見いだせない。
総取引数:419回 純益:407,850円 売りポジション勝率:なし 買いポジション勝率:40.10% 一回あたりの期待値:973.39円
それならトレンドに沿ってエントリーするように条件を追加してみよう。
追加する条件は以下の移動平均線で資金効率が良かった条件にします。
【FX手法検証】移動平均線の角度が急な場合のみエントリーした場合の勝率と期待値は?!
4−2.移動平均線(過去50本)が0.030上昇の場合にロングエントリー!
おおお!いい感じに資金効率が上がった!!
総取引数:157回 純益:1,054,150円 売りポジション勝率:なし 買いポジション勝率:43.95% 一回あたりの期待値:6714.33円
一応ショートのほうも検証してみましょう!
4−3.移動平均線(過去50本)が0.030下落の場合にショートエントリー!
やはりショートでも勝てました!ロングのときよりは純益が落ちていますが、これはたまたまトレンドがロングのほうに沿っていただけでしょう。
総取引数:138回 純益:733,150円 売りポジション勝率:42.03% 買いポジション勝率:なし 一回あたりの期待値:5312.68円
上記の検証はなかなかいい結果となった。
しかしここで一つ冷静になって考えるべきことがある。
今回のエクセルで平均値の計算をした期間が 2015/2/13 ~ 2019/11/13 で検証期間は 2014/1/1 ~ 2018/12/28 なので期間が大きくかぶっている。
つまりは検証期間において計算した結果の数値を用いてエントリーしてるんだから勝てて当たり前じゃないのかと。
後出しじゃんけんしてるのと変わらないのではないのか?ということだ。
よって、エクセルで計算した期間から完全にずらして検証してみよう!
5.追加検証(2009/1/1~2013/12/28)
ロングとショート、それぞれの結果はというと…
[ロングの場合]
総取引数:150回 純益:151,000円 売りポジション勝率:なし 買いポジション勝率:40.00% 一回あたりの期待値:1006.67円
[ショートの場合]
総取引数:147回 純益:342,350円 売りポジション勝率:41.50% 買いポジション勝率:なし 一回あたりの期待値:2328.91円
どちらも勝つには勝ったが、結構優位性は落ちたように見える!
この検証結果としては残念ではあるが、ここから学べることもある!過去データはもっと多くないとだめだ!
また、今回はおおよそ5年分の日足で上昇と下落の平均値を算出して、取引に用いてみたがもっと期間を長くして計算してみるなどすると優位性を見いだせる(ある期間における偏りが消せる)のではないか??
6.まとめ
・値動きについて何らかの傾向を見出そうとするなら、過去のデータは多いほうが良い!(数年程度じゃだめだ!)
・逆に、もっとたくさんの過去データで傾向を見出そうとするならば、優位性は見出せるのではないか?
今回の検証結果としてはそこまでの結果であったが、この考え方は他で活きてくると思われる。
この検証は決して無駄ではない。
※以下のページでは、このサイトで検証したたくさんの手法の内、勝てる手法をまとめています。是非ご参照ください。