あなたはこんなことを思っていませんか?
「ボリンジャーバンド3σでの反発を狙えば勝てるんじゃないか?」
「実際に3σでの逆張りを繰り返したらどのくらい勝てるのだろう?」
もしあなたがボリンジャーバンド3σで逆張りをしようとしているなら要注意です。
勝てるどころか大損してしまいかねません。
FXの検証をして10年の私が、ボリンジャーバンド3σの逆張りの真実をこの記事に示します。
この記事を読むとボリンジャーバンド3σの本当の勝率や期待値を知ることができます。
きっとあなたの大切な資金を守ってくれるでしょう。
目次
1.ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドについて簡潔に説明します。
以下の図を見てください。
ローソク足を覆っているバンドが3つあります(真ん中の赤線は移動平均線です)。
それぞれがボラリティー(過去の値動きから算出した想定される値幅)を表しています。
1σ(黄色の線):このバンド内に収まる確率は68.26%と想定される
2σ(緑色の線):このバンド内に収まる確率は95.44%と想定される
3σ(赤色の線):このバンド内に収まる確率は99.74%と想定される
つまりローソク足は相当な高確率でボリンジャーバンド3σが収まるというわけです。
これは逆張りしたくなるのも無理はありません。
2.ボリンジャーバンドの3σ逆張りとは?
以下の例を見てください。
上記説明のボリンジャーバンドの3σが表示されています。
ローソク足が3σにタッチしたら反発することを期待して逆張りでエントリーします。
通常は反対側の3σにタッチしたら決済するわけですが、今回は以下のように決済のタイミングを複数検証します。
- 反対側の3σにタッチしたら決済。
- 反対側の2σにタッチしたら決済。
- 反対側の1σにタッチしたら決済。
- ミドルバンドにタッチしたら決済。
- 内側の1σにタッチしたら決済。
- 内側の2σにタッチしたら決済。
この3σのバンド内に収まる確率が99.74%ならば、この3σにローソク足がタッチしたら逆張りでエントリーしたら勝ちまくれる!
というのが期待する結果なのですが、実際は…
検証してみましょう!
3.検証条件
[基本情報]
通貨ペア:ドル/円
資金:100万円
取引ロット:0.5
時間足:複数で検証
スプレッド:5
期間:過去5年(2016/1/1~2020/12/31)
[インジゲータ]
ボリンジャーバンド:期間 20
上記の条件にて検証します。
4.検証結果
以下に検証結果を示します。
各時間足、各決済タイミングごとに示します。
4−1.反対側3σで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 797 | -794,235 | 58.09% | -996.53 |
5分足 | 244 | -765,965 | 56.15% | -3,139.20 |
15分足 | 626 | -565,635 | 56.87% | -903.57 |
1時間足 | 174 | 38,415 | 56.90% | 220.78 |
4時間足 | 15 | -774,780 | 33.33% | -51,652.00 |
日足 | 4 | -474,565 | 25.00% | -118,641.25 |
さあどうでしょう。
勝ちまくるどころか負けまくりです。
しかも勝率も想像するよりずっと低いです。
4−2.反対側2σで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 11383 | -498,960 | 61.06% | -43.83 |
5分足 | 2569 | 329,450 | 63.41% | 128.24 |
15分足 | 961 | -790,790 | 58.69% | -822.88 |
1時間足 | 273 | -64,825 | 58.24% | -237.45 |
4時間足 | 61 | -180,105 | 60.66% | -2,952.54 |
日足 | 6 | -92,620 | 16.67% | -15,436.67 |
決済タイミングを早めたことで、少し勝率は上がりましたね。
しかし相変わらずの負けまくりです。
4−3.反対側1σで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 4199 | -779,445 | 59.94% | -185.63 |
5分足 | 2848 | -4,035 | 63.34% | -1.42 |
15分足 | 1184 | -559,945 | 59.54% | -472.93 |
1時間足 | 1184 | -559,945 | 59.54% | -472.93 |
4時間足 | 65 | -281,685 | 55.38% | -4,333.62 |
日足 | 9 | 207,475 | 66.67% | 23,052.78 |
決済タイミングを反対側の1σまで早めても全然ダメです。
ボリンジャーバンド3σの99.74%とはいったい何なんでしょうか。
4−4.ミドルラインで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 3892 | -777,430 | 61.64% | -199.75 |
5分足 | 2969 | -626,310 | 62.98% | -210.95 |
15分足 | 1250 | -494,190 | 59.44% | -395.35 |
1時間足 | 155 | -775,360 | 48.39% | -5,002.32 |
4時間足 | 67 | -52,890 | 61.19% | -789.40 |
日足 | 9 | 217,850 | 66.67% | 24,205.56 |
ミドルラインまで決済を早めてもこの結果。
これはちょっと勝機が見えないが最後まで見てみましょう。
4−5.内側の1σで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 4779 | -781,120 | 58.67% | -163.45 |
5分足 | 1209 | -777,335 | 57.32% | -642.96 |
15分足 | 1300 | -283,710 | 58.77% | -218.24 |
1時間足 | 317 | -599,520 | 54.26% | -1,891.23 |
4時間足 | 68 | -37,910 | 61.76% | -557.50 |
日足 | 9 | 242,850 | 77.78% | 26,983.33 |
相変わらず負けまくりな上に勝率も高くなりません。
4−6.内側の2σで決済
時間足 | 取引回数 | 純益 | 勝率 | 期待値 |
1分足 | 4533 | -778,700 | 55.17% | -171.78 |
5分足 | 1836 | -784,010 | 59.04% | -427.02 |
15分足 | 1321 | -384,970 | 58.29% | -291.42 |
1時間足 | 323 | -325,330 | 56.04% | -1,007.21 |
4時間足 | 68 | -76,425 | 61.76% | -1,123.90 |
日足 | 9 | 26,905 | 55.56% | 2,989.44 |
ついに最も早い決済タイミングである2σ決済でも優位性が見出せませんでした。
ここまでで微妙に勝ててる時間足もありましたが、こんな微益ではもはや誤差でしょう。
5.ボリンジャーバンド3σの99.74%とは本当か?
ここまで読んで疑問に感じる方もいるでしょう。
ボリンジャーバンド3σって本当に99.74%の確率で反発するの?と。
もしこのような疑問をもっている場合、ボリンジャーバンドを誤解しています。
ボリンジャーバンド3σにタッチしたローソク足が”反発する”タイミングが99.74%なのではありません!
”全てのローソク足において”ボリンジャーバンド3σに”収まる”確率が99.74%なのです!
ボリンジャーバンド3σの真ん中あたりをふらふらしているローソク足などもすべて含めて、バンドに収まる確率が99.74%です。
実際に数えてみましょう。
以下に筆者がたまたま持っていた2019/1~2020/9のローソク足データをエクセルで集計してみました。
A列~E列がローソク足データで、F~I列がボリンジャーバンド3σの数値です。
そしてJ列で各ローソク足がバンド内に収まったのかを判定しています。
ボリンジャーバンド含めすべてのインジゲータには計算式があるので、当然エクセルでも算出できるわけです。
結果としては、全体で40,717本ローソク足がある内の40,110本がボリンジャーバンド3σの中に収まっていました。
98.51%でしたので、かなり近い結果が出ました。
やはりローソク足が3σバンドに収まる確率が99.74%というのは嘘ではないのです。
6.ボリンジャーバンド3σまで到達するのは勢いづいている時
上でボリンジャーバンド3σの検証結果を示した通り、逆張りしてもほとんどの場合負けまくります。
というのも、ローソク足がボリンジャーバンド3σに到達するタイミングというのは相場がかなり勢いづいている場合が多いからです。
99.74%の確率でバンド内に収まるところを3σまで到達してしまった。
それだけ勢いづいているのです!
3σで逆張りをするのは危険です!
7.まとめ
・ボリンジャーバンド3σの逆張りは危険!
・ボリンジャーバンド3σに到達したということは相場が勢いづいている!
今回はボリンジャーバンド3σ逆張りの真実を数字で示しました。
ここまで読んだ方はいかに危険かわかってもらえたのではないでしょうか。
しかし逆張りで負けまくるということは、順張りで検証したら優位性のある手法に化ける可能性もあります。
引き続き検証を続けます。
※以下のページでは、このサイトで検証したたくさんの手法の内、勝てる手法をまとめています。是非ご参照ください。